裁判員制度


本日(8/3)、東京地裁(東京地方裁判所)で、初めての裁判員裁判があったようだ。

審理3時間、初日は閉廷 東京地裁で初の裁判員裁判(asahi.com)

昨年(2008年)の11月28日に、国民が直接、裁判員裁判に関わる第一歩となった、裁判員候補者への通知が発送され、翌日(11/29)に通知が届き始め、最高裁判所のコールセンターに問い合わせが相次いだ頃、
日本国内は、裁判員制度について、賑わっていたと思うが、昨年の12月になって、派遣村等、景気の悪化の話題が中心になり、裁判員制度の話題が、薄れてしまったように思う。

裁判員候補者名簿に登録された方に名簿記載通知を発送しました。なお,引き続き,裁判所を騙った不審な電話・郵便等にご注意ください(2008年11月28日)(裁判員制度)

裁判員候補通知、到着 コールセンターに電話870件(2008年11月30日)(asahi.com)←リンクは切れています(;^_^Aフキフキ

しかし、本日の初の裁判員裁判により、日本国内は、裁判員制度について、再び賑わうことになるだろう。

裁判員制度導入は、個人的に、以下の2つを理由に、良い事だと思っている。

・被疑者・被告人が守られ過ぎと感じる裁判

・日本人の法律に関する知識の少な過ぎさ

(被疑者・被告人が守られ過ぎと感じる裁判)

現段階で、裁判員制度が導入される裁判は、簡単に言えば、地方裁判所の重大な刑事裁判のみ。
「そんな重大な事件を裁判するなんて、法律知識も全くないのに、人を裁くなんて、、、」と思っている方も多くいると思うが、被害者となってしまった方の中には、「そんなことを言っていられる場合ではないでしょう」と思っている方も多くいると思う。

裁判員制度ではどんな事件の裁判をするのですか。(裁判員制度)

確かに、裁判は、関わらなければそれに越したことはない。
しかし、実際、関わらなければならないことが出てくる。
何にも悪いことをしていないのに、いきなりナイフで刺されて殺された事件等など、思ってもみないことが現実に起きている。
そして、刑事裁判の過程や判決で、被害者に納得できない時があるそうなのだ。

学生時代、現職の裁判官の講演会に、出席したことがある。
日本の裁判官は、他国と比べて、質が良いそうで、
他国では、賄賂がまかり通っており、公平な裁判をしない裁判官がいるそうだ。

それでも、法曹(ほうそう)の方々では当たり前だと思っていることが、一般市民には理解に苦しむ場面があるらしい。
これも裁判員制度が導入された理由の一つになっている。
あ、法曹とは、裁判官、検察官、弁護士の三者を総称で呼ぶ時の言い方です(^^;

私も納得できないこともあるだろうなと思う。
憲法、刑法、刑事訴訟法を勉強すると、やたらと被疑者・被告人が守られているなと感じることが多々あるのだ。
ご存知ない方が多くいると思うが、憲法では、刑事手続きの条文を多く置いている。
これは、拷問による冤罪が多かった、日本の歴史背景があるからだそうだ。
刑事法(刑法や刑事訴訟法など)にも、「推定無罪(=何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される)」や「疑わしきは罰せず」という原則がある。

推定無罪(Wikipedia)

疑わしきは罰せず(Wikipedia)

この様に、被疑者・被告人が守る法を勉強した方々が、裁判上でも暗黙の了解としている限り、被害者にとって、もどかしさや、腹立たしさもあるに違いない。

ちなみに、昨年の12月1日から、被害者参加制度も開始されています。

被害者参加制度(Wikipedia)

(日本人の法律に関する知識の少な過ぎさ)

そもそも日本人は、争い事を忌み嫌う国民性がある。
争う姿勢を見せることによって、「あの人、そんな事で争うのか?」と周りの者から言われるじゃないか、自分の器が小さいと思われたくない、私さえ我慢すれば周りに迷惑を掛けたくない等、周りの目を気にして、和を崩したくないのだ。

確かに、ほんの些細な事であれば、争うべきではないと思うが、自分の心の声を聞いて、どう考えても変だと思ったなら、争うべきなのだ。

しかし、元々、争い事をしたくない、争い事をする者を冷ややかな目で見ることを日常としているので、いざ争い事が避けられなくなった時、相談するのは、専門家だけという道しかなくなっている。

毎日のように残業しているのに、残業代が出ない、、、
今のご時世、何処でも同じ、私だけではない、、、、

10万円貸したけど、「返せ!」と言っても返してくれない、、、
貸した私が馬鹿だった、、、

折角、土地を買って家を建てたのに、隣りで飼っている犬が吠えていて、うるさくて眠れない、、、
隣りとは、いざこざを起こしたくないので我慢しよう、、、、

義務教育では、法律は教えてくれない。
憲法の前文は暗記させられたが、憲法は、民法・刑法・商法などの法律と次元が違うことを知らずに、ただただ、「日本国民は、正当に選挙された・・・」と丸暗記して、テストでは、前文で難しい字の穴埋めがあったりするだけ。

高校でも大学受験でも法律が教科にない。
やっと大学になって、法律が、法学部では、当然に教えられ、他学部でも一般教養として教えられる。
しかし、使える法律を教えられる教授は、どれくらいいるだろうか。

私は、法学部に在籍していた。
落第生だった私だが、民事訴訟の講義が1年間あったのだが、1年で一通り終わらなかったり、教育法の講義で、絶版になった法律書を、授業のテキストとして使用するのには、さすがに呆れた。
民事訴訟なんか、一連のことをやらないと、民事訴訟を学んだことにならない。
絶版の法律書をテキストだなんて、法律云々より、教育者として問題があるのだはないだろうか。

結局、大学では、良い教授について自分で勉強するか、自分で予備校などを利用して勉強するかしなくては、使える法律は学べないと思っている。

法学部でこんな有り様なのだから、他学部や大学に行っていない方々は、法律が必要だと思わない限り、法律を勉強することは無いかもしれない。

身近なことでもこんな感じなので、裁判なんて、テレビの中の話だと思っていたら、裁判員候補者への通知が郵送されてきて、「どうしよう、、、」と思ってしまっても仕方ないと思う。
しかし、これがある意味、国民に裁判について、法律について、もっと勉強をさせるきっかけになると思う。

少なくとも高校までには、従来より、裁判についての内容が増えるだろうと思う。
では、もう社会人となった者は、どうすれば良いだろうか。

最初から、ニンテンドーDSで、「もしも!?裁判員に選ばれたら・・・」なんていうソフトに頼るはどうかと思います(^^;
でも、やってみたい(笑)

ニンテンドーDS「もしも!?裁判員に選ばれたら・・・」

最後に、、、

今回は、話がとても長くなってしまいましたが、裁判員を導入するかしないかで、違いが変るかのかということを話して終わろうと思う。

私が法学部に在籍した頃は、司法制度改革の真っ只中だった。
民事訴訟の講義で、裁判員を導入した模擬裁判をやるので、教授が参加者を募っていた。
本物の裁判官が出席するそうなので、本格的なものらしかった。
私も参加しようかどうか迷ったが、結局、参加せずにいた。
後日、模擬裁判の報告があった。

同じ事件を、裁判員を導入した裁判と、裁判官だけの裁判と、数回、分けて裁判したそうだ。
数回というのは、裁判員を導入した裁判で、裁判員の数を変えても裁判したということ。
やはり、判決が変わったらしい。
同じ有罪でも、刑が軽くなったり、重くなったりなど。
私が、「ほぉ」と思ったのは、裁判上で判らない法律用語があった時は、裁判官が丁寧に教えてくれるということだった。

法律を知らなくても判断することはできるのですか。(裁判員制度)

裁判員制度について、多くの意見があると思います。
でも、また、その意見を考え出すのも、良い事だと思います。
日本の司法が、良い方向に向かってくれれば、、、
と願うばかりです。

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